若狭湾が眼下に広がるワインディングロードからの風景は圧巻。

（左）第一駐車場から山頂公園へとつながるリフトとケーブルカーからの眺めも爽快。
（右）山頂公園入り口では、地元の漁師村に伝わる民話「大名だぬき角兵ヱ」のたぬきがお出迎え。

久々子湖（くぐしこ）、日向湖（ひるがこ）、三方湖（みかたこ）、水月湖（すいげつこ）、菅湖（すがこ）という5 つの湖からなる三方五湖。湖はすべてつながっていながらも、海水、淡水、汽水など湖によって異なる水質を持つ。それゆえ、山頂から湖を眺めるとそれぞれに違った青色を映し出し、見事な景観をたたえる。若狭湾沿いにそびえる梅丈岳（ばいじょうだけ）を縫うように走る全長11.2km の観光道路・レインボーラインを通れば、そんな三方五湖と日本海を見渡しながらドライブを楽しむことができる。湖や海、山の風景が目まぐるしく展開するいくつものカーブを越えれば、標高約400m の山頂公園へ到着。園内からは湖の周囲に巡る山々と若狭湾が作り出す情緒豊かな光景が360 度に広がり、まるで空中から見下ろしているよう。広大な敷地内には 1 年を通して花が咲き乱れ、「恋人の聖地」や「ばら園」など見所も多数。「自然・ふるさと・心」をテーマに整備された公園はまさに「天空の庭園」と言える。爽やかな初夏の風を受けながら、雄大な景色を満喫すれば、日頃の疲れも吹き飛ぶはず。

（左）願い事をお皿に書いて、湖に向かって空高く投げる「かわらけ投げ」。
（右）6月には110 種600 株のバラが見頃を迎え、華やかな雰囲気に包まれる。

ずらりと塗箸が展示された館内。

（左）貝や卵殻をあしらった若狭塗箸の伝統的な模様の箸。
（右）ギネスにも認定された世界最大の8.4mの箸も必見。

貝殻や卵殻を色とりどりの漆で塗り重ね、丹念に研ぎ出し磨き上げることで、キラキラと輝く独特の美しい文様が現れる若狭塗箸。若狭小浜はこの伝統工芸発祥の地であり、日本で流通する塗箸の80％以上が作られる箸の一大産地だ。もともと若狭塗箸は、約400 年前にこの地を治めていた小浜藩の御用塗師が中国の漆芸にヒントを得て、海底の様子をデザインしたものが始まりといわれている。江戸中後期にかけては、青貝・卵殻を用いた箔押し研出し技法のほか蒔絵の技法も併用され、200種以上もの塗手法が完成されたという。塗箸は地場産業として藩に奨励され、今日にいたるまで独自の発展を遂げた。箸のふるさと館WAKASA ではそんな若狭塗箸の魅力を伝えるべく、約2,000 種に及ぶ箸や作業工程を展示。さらに研ぎ出し体験も実施し、若狭の伝統に気軽に触れ合うことができる。ひとつとして同じものはない手づくりならではの美しさと、歴史が育んだ伝統の技をじっくりと堪能したい。