時折、猫と出会う「猫の細道」にはプチ美術館があり、どこか懐かしい雰囲気。路地を散策すればスクリーンで観た場所を発見できるかも。探してみよう！

ガウディハウス（左）御袖天満宮（右）

自然の良港を持ち、平安時代より港町・商都として栄えてきた尾道。中心市街地を挟むように、 北側の尾道、三山（千光寺山、西國寺山、浄土寺山）が南側の尾道水道（瀬戸内海の水道）から急にせり上がり、平地が少ないのが特徴だ。山の斜面には、北前船の寄航が始まって以降、豪商達が競って建てた81寺のうち25寺が現存。寺の参道から民家を結ぶ坂道や路地、石の階段が網の目のように繋がっている。屋根越しに海を望む独特の景観を誇り、この坂の町は数々の映画の舞台となっている。昨年、イギリスの権威ある映画専門誌でもっとも優れた映画に選ばれた小津安二郎監督作品「東京物語」を筆頭に、大林宣彦監督による尾道三部作などは記憶に新しい。 「さびしんぼう」の主人公の通学路にあるユニークな民家・通称「ガウディハウス」や、「転校生」の主人公のふたりが転げ落ちるシーンを撮影した「御袖天満宮」など、町を歩くとロケ地がたくさん。近頃では空き屋再生プロジェクトも進んでいて、坂道の散策途中に大正末期から昭和初期の古民家を利用したカフェでひと息入れるのもおすすめ。

大林監督が少年期を過ごした尾道で映画を撮影。1980年代公開の「転校生」「時をかける少女」「さびしんぼう」は尾道三部作と呼ばれる。'90年代の「ふたり」「あした」「あの、夏の日」は新尾道三部作。
1985 TOHO CO.,LTD

太田家住宅

福禅寺

鞆の浦は万葉時代からの歴史を持つ港町。江戸時代中期ごろまで潮の満ち干を利用した航法が一般的で、「潮待ちの港」として繁栄した。港の重要性を示す焚場（たでば）、常夜灯、石造会談の雁木、波止、船番所と、当時の港湾施設5点セットが国内で唯一完全に近い形で現存する。常夜灯の近くには国の重要文化財で風格ある佇まいの「太田家住宅」が。1659年に中村吉兵衛が漢方薬酒・十六味地黄保命酒の製造販売を始めた家屋で、商家の暮らしを今に伝えている。同じく名所として注目を集めるのが「福禅寺・對潮楼」。1694年に造られた客殿から望む景色は一幅の絵のように美しい。そればかりか、窓枠の影や山並みに昇る太陽の位置を測り、座敷全体が暦の役割を果たしていたというから興味深い。この港町は、ハリウッド映画にも登場。世界的に有名な「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」改訂版3版（フランス語）でも紹介されている。日本が誇るべき貴重な景勝地だ。

6・7月は一般からのリクエストなどを基に『トラック野郎」や「正義だ！味方だ！全員集合！！」を上映。8月以降の上映作品もウェブサイトにて発表。

10月までの毎月最終週の土日に、福山駅前シネマモード（福山市伏見町4-33）で懐かしの名作を上映。もう一度みたい昭和の名作が大スクリーンで鑑賞できる。8月は昭和の子どもたちが夢中になったアニメを上映。9月は音楽系、10月はアニメと、毎月異なる映画が楽しめる。料金は1回1000円。昭和ミュージアム（福井市元町8-2）で前売り（800円）販売。

1945年8月8日の空襲で、市街地の約8割を焼失した福山市。「荒廃した街に潤いを与え、人々の心に和らぎを取り戻そう」と、1956年、公園付近の住民によりばらの苗1000本が植えられた。こうした住民の熱意が人々の心を打ち、市政を動かすことになった。現在、「ばらのまち福山」と掲げている所以はこの公園にあったのだ。1968年、全国美しい町づくり賞・最優秀賞を受賞。1985年には「ばら」が市の花として制定された。また、市政70周年記念に福山のばら「ローズふくやま」が誕生して以来、「ビューティフルふくやま」「プリンセスふくやま」など福山を冠にした数々の品種が作られている。

例年5月には、約280種5500本のばらが咲き誇るこの公園に人々が集い、市最大規模のイベント「福山ばら祭」を開催。普段でも、バスの車体にイラストが描かれているなど、街でばらを目にすることが多い 。3年後の市制施行100周年に向けて市民と行政が一体となり「100万本のばら」を目指している。2013年3月末、市全体に植栽されたばらは77万本を数えた。